前編
2016.12.18 下北沢Circus
ゲスト:猿田彦珈琲 代表取締役 大塚朝之
松浦(以下、ま):今日は猿田彦珈琲の大塚朝之社長をお呼びしました。
小松(以下、こ):はい。
ま:今回は第六回ですよね?
こ:第六回です
ま:皆さんね、寒い中集まっていだだきありがとうございます。
こ:ありがとうございます
ま:ぼちぼち始めますか
こ:はい
ま:改めてご紹介します、大塚朝之さんです
大塚(以下、お):よろしくお願いします
《会場拍手》
ま:あの〜、一見音楽と関係ないじゃないかと思われると思いますが、僕は珈琲が大好きなんですよ。大塚君とは長い付き合いなんだよね
お:そうですね。もう〜…15年以上ですね?
ま:15年以上だよね。
こ:長いですねー!
ま:まだあのときは、最初知り合ったのも珈琲屋だよね?
お:はい。地元仙川のスターバックスコーヒーですね
ま:あれね、仙川のスターバックスコーヒーは今でもあるんだけど、ちょっとアメリカのスターバックスみたいな感じなんだよ。アメリカのコーヒーショップって店員さんがお客さんのこと覚えてるんだよね!それでわりと毎日みんな集まって、地域の情報交換をして、そこから一緒になんかやろうかって人ができたりとか。みんな顔見知りでね
こ:それは店員さんが引き合わせてくれるってことですか?
ま:いや、自然とそうなるんだよね。カフェを中心にコミュニティができていくんだよね。例えばさ、アルバイトをしてた人がお客さんをしてきてた人の会社で働き出すとかね
こ:すごい!
お:まさしくそうですね。僕がよく行っていた頃は、店員さんのちえさんという方がいてその方の休憩に一緒にテラスに行くことがよくあったんですが、そのときに松浦さんと出会いましたね。僕も常連でしたけど、もっと常連さんの松浦さんには、「あきさん!」なんて声をかけちゃったりしてましたね。
ま:そうそう
こ:なるほどね〜
お:僕が覚えてるのは、その時松浦さんが指を骨折していて…
こ&ま:笑
お:もちろん、どうしちゃったんですか?って心配になって。
ま:そうそう。日曜日にレコーディングで弦のレコーディングを撮りに行こうと思って車を運転してたんだけどね。高速道路を走ってて晴れてたし視界良好で、たまたま自分の車は整備に出してて代車だったんだ。それで、新宿線を走ってたんだけど新宿の出口があって都心に向けてカーブがあるんだけど、サンデードライバーはそこで迷うみたいでさ…
前の車が何を思ったか急ブレーキを踏んだんだよね。それで慌てて自分も思いっきりブレーキを踏んだらガガガッってなって車体が右へ左へ蛇行しちゃって、結局中央分離帯に軽くどんってぶつかって止まったんだけど
こ:えぇー!
ま:ここから貧血起こす人いるかもしれない内容だけど大丈夫かな?
…それだけスピンしちゃってる時ってハンドルが勢いよく回るじゃない?そのときに小指をもってかれてちゃってたみたいで…
こ:うわぁ〜…
ま:最初は、体は目立った外相もなんともなくて大丈夫かな?って思ってんだけど。あれ、車は大丈夫かな?って車のほうが心配になっちゃってね、こんな中央分離帯で立ち往生してる場合じゃないなって思ってとりあえず新宿で降りようってことにしたんだ。そしたら手が痛いなぁって思って
こ:うわぁ…やめましょ
お:僕が知ってる限りだとこのあとかなり過激なことしますよね?
ま:したした
お:自分で骨を入れたっていうことはすごく印象的で覚えてますが…
ま:それ話しちゃう?苦手な人は軽く聞き流してて欲しいんだけど。
右手小指の第3関節が折れてて、そのうえ爪が自分の方に向いてて…
こ:え〜!!もぅどうゆうこと〜!
ま:要は逆に折れて半回転した指の状態でさ。その指で運転してうわぉ!ってさ。
そこで冷静に考えたわけ。これから弦のレコーディングに行かなきゃいけなくてさ、結構な人数を集めるし時間も費用もかかるわけで…
こ:おぉ。それは結構ですね
ま:これを僕がぶっとばすといったいどれくらいの損失になるだろうと思ってね。とりあえず行かなきゃいけないなって思ったわけで
こ:はい…
ま:でも、この指をほっておくとどんどん固まっていくわけじゃない?絶対このままじゃよくなさそうだよなーって。
お:はい
ま:でもレコーディングは行かなきゃいけないし。しかも今はアドレナリンが出まくってるからそこまで痛くないからさ、やるっきゃないと思ってね
こ:まさか…
ま:でね、考えたわけよ。「想像しよう!」って…
こ:想像しよう…(失笑
ま:骨だけじゃなくてね、腱とか筋肉もあるでしょう。僕もさ、楽器を弾くからね。えらいことになったら大変だろうなって思って、これを伸ばさずに綺麗に入れなきゃいけない
こ&お:笑
ま:だけどきっと骨は綺麗に真っ二つには折れてないだろうなって
こ:まぁ…
ま:つまり、必要最低限、腱に負荷がかからないように引っ張って入れるのが正しいだろうと。
《会場:笑》
こ:どんだけなんですか!その思考!
ま:それで、「よし、これはいくしかないぞ」って思ってね。
あのね、ここまでいくとテレビの世界なの。自然と声が出ちゃうんだよね!誰もいないのに、「よし!いくぞ!」てね。笑
こ:一旦、声に出ちゃうんですね!(笑)
ま:車の中なのにね。それでね、一気に叫びながらはめるわけ!悶えながらちょっと見たら、若干外向きで…
こ:うまいこといってなかったんですか!
ま:おしい!って思うわけよ。それで、すぐ回しちゃいけないなと思ってさ、若干浮かしながらまたやって、大体合ってる!!!ってなるんだけど…ひとまず車を置いて、スタジオに行こうとしたんだ。
こ:はい…
ま:それでとりあえずタクシーに乗り換えて、車を置いた場所を業者に連絡して引き取りに来てもらえる手配をしてね。マネージャーに5〜10分遅れますって連絡を終えたところでさすがに一回、くら〜っときたよね
こ:笑
ま:そのあとの弦のレコーディングは、痛くて痛くて!本当に絵に描いたように手がグローブをはめたように腫れるのね!
お:へぇ〜
こ:まじですか!そりゃそうですよね!
ま:それを見てる弦の人たちもね、楽器やる人なわけだから自分に置き換えちゃうみたいで、見てて生きた心地がしないみたいだったよ。あんなになったら私どうしようって顔してて…ひたすら痛いけど、大丈夫だから!って言ってたよ
こ:そうですよね。そのあとに初めて大塚さんとお会いしたってことですか?
お:はい。何度かはお見かけはしてましたけど、初めて話したのはこのときでした。
ま;それはインパクトあるよね!
お:松浦さんが音楽をやるってことは聞いていたんですけどね!当時はいかにもロックンローラーですっていうきったない格好をしていたので。笑
ま:そんな時期もあったね!
お:ワーゲンに乗っていてぼろぼろのTシャツにデニムで…。その頃の僕はまだ二十歳そこらだったんで、この人はいったい何をしてる人なんだって思ったんですけど。話してみたらそんなクレイジーな話をされたので、ほんとにいい意味でイカれた人なんだなと思いました
ま&こ:笑
お:そんな初対面の印象でしたけど、今のこういった話って、今日お話しさせていただくことのほとんどの結論につながると思ってて。
ま:え、なんで?
お:僕は今猿田彦珈琲ってとこの社長をやらせていただいてて、210人くらいいますけど。もし自分が「事故りました、骨折しました、次に現場があります、自分で指が折れたのはめました、仕事に来ます」って人は残念だけど、たぶんうちの会社に1人居るか居ないかなので…
こ:それはいないでしょう。笑
お:居ないですよね?!
ま:やっぱりいないかー。笑
お:この話を聞いた当時は、僕は俳優業を志していたので自分が事故った時にそういう行動ができるかって思わず、ぱっと考えたのをよく覚えてます。
ま:あの時はさ、結局病院もやってなくてひとまずレコーディングが終わってから救急病院に向かったんだけどね。近くの宿直の先生にレントゲン撮ってもらって。
レントゲン写真を見た先生に「あなたは医者か整体師ですか?」って間違えられるほど綺麗に折れた指が入ってたみたいでね!「二度とやらないでください」って釘を刺されました。
こ&お:それはすごい!笑
ま:そんなことがあったからさ、実は折れた方の指は2mmくらい短いんだよね。
こ&お:へぇ〜!本当だ!
こ:そんな話がスタートの出会い方だとスタバで毎回
お見かけするたんびにお話しするようになりますよねー!
ま:それ以降は毎日のように会ってたよね?
お:そうですね
こ:毎日?
ま:ほとんどねー。よっぽどのことがない限り毎日スタバに行くのが日課になってたんだよ。その頃はいろいろめんどくさかったり、ちょうど実家に戻っていた時期だから、自分のキッチンがなくて自分で珈琲を入れられなかったから飲みに通ってたね。
お:僕はあきさんみたいな方々の話が聞きたくて、できる限り入り浸ってましたね!当時はカフェモカくらいしか飲めなかったんですけどねー。今じゃ珈琲屋さんをやっちゃってておかしな話なんですけどね!
《会場:笑》
お:あきさんに会うとなんでも話していて相談に乗ってくれて。たまに一緒にご飯も行かせていただいたりもして。僕の友達があきさんのところで働かせていただいたりなんかもして
ま:この友達ってのがまたすごいかったんだよ。個性的なおかしなこと言う人ばっかりだったのよ
こ:そうなんですね!
ま:芦屋のお嬢様だったり、どっかの社長の御曹司とか
お:僕自身はお金持ちではないんですけどね!でも彼らは常識に欠けてるというか…
ま:そうそう!現場で一番高い弁当みたいなの食べたり、みんなで取り分けるのは嫌だって自分だけのサラダを頼んだり、食事にはうるさい奴がいたりね…(笑
お:その友達、K君にたまに会ったときに「世間では今何が流行ってるの?」とか聞くんですよ。彼はすごい情報キャッチするのが早いので
ま:ほー。そうなのね
お:ちょっと高めの珈琲屋さんを始めた頃に、どうゆうスーパーでどんな豆が売ってるかとかいろんな情報をもらっていたり、感心できる話をたくさん聞けるので、よく彼を呼び出してましたね!
こ:そうなんですね
お:今思えばくだらない話もあるんですけどね。猿田彦珈琲を初めて頃に、K君から「今どきはみんな家で珈琲を落とすのが流行ってるよ」って話を聞いてたときは驚愕しました!
猿田彦珈琲を始める前はコーヒー豆屋でアルバイトをしていたんですよ。あきさんにも何度か試飲していただいたりしていて。当時はコーヒー小僧だったので。笑
ま:そんなこともあったね
お:その頃は自分なりに一生懸命やっていたので、家でコーヒーを入れるのが日本で流行っちゃってるのはまずいんじゃないかって思ってました。まぁ。本当はそんな大げさに言うことでもなかったんですけど。
ま:それはもうお店を始めてた頃なの?
お:そうですね。コーヒーがそんな形で流行り始めてるって知ったのはもう店を初めて2年くらい経ったときだったので、コンビニに雑誌を見に行ったりいろいろ調べました!
ちょうどその頃にジョージアさんからお話をいただいたんですけど、自分的にはコーヒー業界はもう一歩なところだと思っていたのでコーヒーが流行っているって自覚は全然なかったですね。
こ:へぇー!
ま:じゃあ、お店を初めて時は流行ってるからってことではなかったんだ?
お:さっぱりその気はなかったですね!
ま:ただコーヒーが好きで始めた感じだ
お:そうですね!そもそもエスプレッソマシーンは高いので…
ま:高いよねー!入るのそれ?っていうくらいでかいやつを自宅に早く買ったよね?
お:買いましたね!
ま:だよね。僕はそういう思い切ったことが好きでね。
こ:はい。といいますと?
ま:楽器でもそうだけどね、分不相応だなと思ったりして普通なら控えとこうかなって思うじゃない?ちょっと安めのにしておこうかなとか。
こ:まだ早いなって思うことはありますね
ま:そう、僕はそういうのに反対なのよ。いい音する楽器をとにかく自分で大金はたいて買っておくほうがいいと思うんだ。そうするとやめられないから。
こ:そうですね!笑
ま:いい楽器を買うといい音がするから使っていて機嫌がよくなるじゃない?ちょっとずつ自分のレベルを上げていこうとするのもいいんだけどさ。一回無理して高いものを買っておいてそれに追いつこうと頑張るほうがいいと思うわけで
お:そうですねー。そういった話は昔からあきさんから聞いていたし僕が聞いて思ったことがあるんですけど。
うちのお店が7件くらいあるんですけど、その店舗に超ハイスペックなマシンを置いたんです。機械の歯だけでも50万くらいするもので。
こ:うわぁ、高い!
お:もちろん100万くらいするものを買ったら、もっと使いやすいってこともあると思うんですけどね、高ければいいわけではないので。いくら高くても、ちょっとした調整をしたいときにうまくいかなかったりするのですごく難しいんですよ。
例えば92度に温度調整をしたいときにちゃんとしたものでないとうまくいかなかったり、豆の粒度も調整も機械自体が安いものだと荒くなってしまってうまくいかないんです。細かいかもしれないと思うテクニカルなことがないとできないってことは、あなたが下手くそだからうまくコーヒーが落とせないだねってことになってしまうので。
正直、僕自身も独学であんまり分からないこともたくさんあって。最初のお客様はあきさんたちのような家族のような方々だったので。お金はもらっちゃうけど、僕の試作のコーヒーを飲んでください!みたいなことをよくさせていただいてたので、そこから学んでいった感じなんです。
ま:そういうのよくあったね!こっちとこっち、どっちがいい?みたいなやつ
お:1杯買っていただいたら、ここぞとばかり5杯くらい出してたりしましたね!
ま:気づいたら飲みすぎてお腹ちゃぷちゃぷになっててね!
こ:そんなことがあったんですね!笑
お:今でもたまにやるんですけどね。今はもうカッコつけないといけない立場になってしまってるんで、いい加減なことやり過ぎると周りのスタッフが嫌な顔するんですよ!また邪魔するのかって感じで。笑
こ&ま:笑
お:うちのスタッフは本当に嫌な顔するんで、なかなかやりづらいんですけど。笑
やっぱり当時のそういった精神は忘れてないんです。
みなさんに試作していただいて磨いた分機械もうまく操れるようになるって
思っていたので、5年経っても無限に可能性があるなって思いますね。
ま:そうだね
お:こういった場に呼んでいただけるようになった今でも、
僕らは世界一のコーヒー屋さんだとは思ってないんですけど。
機材に関しては間違いなくハイスペックなものを取り揃えている店だと思いますね。
他のところを見てもなかなか全部ハイスペックで揃えてるところはないので
こ:こだわりが強いんですねー
ま:でもね、やっぱりすごいエスプレッソマシンだと格好も美しいわけよ。
お:そうですね
ま:あれは不思議だよね!特に形で味が変わるわけではないはずなんだけど、いろんなことにこだわると実際味も素敵になるんだよね
お:僕らもコーヒーについて頑張って学ぶようになってきていて、機械を作った開発者とお話できるときときがあるんですが。彼らとしてはいい機械を作りたいと思うとどうしても高額になってしまうから、それをできるだけpayしてもらわないと作った意味がなくなっちゃうと思ってるわけで。店舗に置いた時にすごくかっこよく見えるようにしてちゃんとお客様に買っていただけるようにデザインまでこだわるんだと話していましたね。
こ&ま:なるほど〜
お:音楽の分野だと、ギターを作る人も自分が一番いいギターを作りたいと思うんであれば、当然かっこいいものを作ろうとしようと思うかなぁって
ま:あるある!ギターも二つ方向があってさ。もちろん音質的なこだわりもあるけど、フォルムと音ってすごく関係してるんだよね。あと、木の材質も関係あるのね。
音がなるものって、全部さ、糸巻きがついていてネックがあってボディとくっついていて。ボディも裏の板が2枚に分かれてて、側面と前にも板があって…といった感じでいろんな部品がくっついていてひとつの楽器になってるでしょう?
こ:そうですね
ま:結局、この形で音が決まってくるのね。ひとつひとつの部品をしっかり作ることで音が逃げなかったり、追求していくと不思議と美しくなってくんだよね。
アルフィーの高見沢さんのギターは別の意味で美しいけどね。今言ってるのはそういう美しさではないから置いといてね。笑
《会場:笑》
こ:それとこれとはべつなわけですね!笑
ま:別だね。バイオリンとか管楽器も素敵な形だよね。不思議なことにF1とか飛行機も、空気抵抗だとか考慮していくうちになんだか知らないけど美しい形になるよね。
お:そうですね
ま:たぶんね、エスプレッソマシンのことはよくわからないけど、エスプレッソマシンも気圧を使うわけじゃん?だから管が適当にぐちゃぐちゃしていたら気圧が一定に保てなくてうまくいかないわけで。それじゃダメだから配管も美しくなるよう考えてるはずだよね。
F1もね、排気と吸気をうまく行なうために車内の排気管は均等な長さに保たれているらしいよ
こ:へぇー!長い距離でも短い距離でも均等にされているんですか!
お:なんか、それっぽいマシンをそこそこの値段で買うと、ありえないくらいポンコツ商品だってりするんですよね!お湯の量が250ccが必要なのに200ccしか出てこないとか。そういう商品は見た目にも違和感がありますね。こんな小綺麗なはずがない!それっぽく作られちゃったんだなーって。
ま:やっぱりエスプレッソマシンでもそういうことあるんだね。
お:実際に仙川のお店で使ってるんですけどね…笑
こ:それはそれは…笑
お:でも松浦さんのいうように、僕らも焙煎機を使うときは排気と吸気がとても大事なので。F1のこともギターの形の話も然りですけど、そうだよなー!ってはっとしましたね。
僕自身もそこまで分かりきってるわけではないですが、何事にも似通ってる部分はあるんですね。
こ:そうですよねー
ま:だってね、マイクの中に入ってる基盤があるじゃない?開けると基盤が入っていて、基盤のヘリをナイフとかでヤスリをかけると音が変わってりするんだよ!ちょっとしたことで変わるの。
こ:そんな簡単にいい音に変わるんですか!
ま:そうなのよ。楽器を止めてる六角とかのボルトも、ボルトのヘリを角ばってるのを削って丸みを出すだけで音が変わるんだって。ただ止めておくだけのものなのに。もっと単純なことだと、シンセサイザーレイアウトをしてその入れ方が違うだけで音が変わってちゃうんだ。同じ基盤を使っているのに、3列に縦に並べるか横1列に並べるかの設計の違いだけで全然変わってしまうんだって。
お:僕らのコーヒーの機械はここ10〜20年で開発がすごい進んできてるんですけど。それこそ「ひとつひとつの部品の丸みが〜」とか突き詰めていくことになるんだろうなって思いますね。そういった楽器に比べたらまだまだですけど、進化するんだろうなって!
ま:だって、同じ気圧を扱うものだもんね。つまり、機械を使う時に豆の良さを際立たせるためにどこからも空気が漏れなくて均一に圧がかかるっていう構造が理想な訳だよね!
お:そうですねー!僕らの業界はつい最近まで「右!」って言ってたことが気づくと「左!」って変わるとこもよくあるんですけど。前までは、20キロくらいの圧をかければいいって話だったんですけど、今では、力ではなくてソフトタッチでもいいから全体的に均一の圧をかけることが大事なので。それこそまったく同じ量の豆、同じ粒度、同じお湯の量だとしても人間の手で整えたものの方がすごい一体感のあるコーヒーになりますね。
ま:やっぱりそうだよね。F1の機械にしたって、よりよいものにするために摩擦が起きないように微調整するのは結局人間の手作業だっていうものね。
お:そうですね。やっぱり機械ではなく手作業でやらなくちゃいけないことはありますね。
映画とかに例えると全部CGだと味気ないものになったりしますもんね。かなり手の込んだアクションうえでCGをかぶせるからいいものになるって聞いたことがありますし。
こ:何事も、最後は人間の手が加わるものでよりよいものになるってことなんですねー。
ま:そうだね。前半はこれくらいにしてお昼休憩しようか?お腹も空いたし。
お:そうですね!
こ:では前半はここまでで一度終わりますが、後半もお楽しみに!